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biohazard7 体験版を舐めまわしてみました

体験版をプレイしただけで本編をプレイしたかのような評価内容になっていますが、最終的には物凄く素晴らしいゲームになるかもしれません。

最初に総評

  • 映像: 70/100
    • 良く出来たインディータイトルと同じくらいの映像美
    • アセットの質は良いんだけど、deep down を難産している間に周囲が進歩してしまった感
  • ゲーム体験: 50/100
    • ”主観視点の採用” と ”サバイバルホラーの見直し” を同時に行った結果、バイオハザードシリーズ最新作だと言われても信じられない。
    • Layers of Fear とか Room 404 みたいな作品と比較できちゃう (そしてそれらを超えていない) というのが残念
    • Layers of Fear はここ数年でプレイしたホラーゲームの中で抜群の出来なので、比べる対象としては良くないんですけど…ねぇ
  • 新規性: 無

  • 総合評価: 本編を購入しないきっかけになりました。


RE エンジン

僕としては、当然ここに注目します。

名前

9割方 ”Resident Evil Engine” でしょう。
前世代のゲームエンジンが 「MT Frramework」 で、その次のゲームエンジンのプロジェクトコードが 「Panta Rhei」 と特定のゲームタイトルと関係のない名前だったのに対し、
Resident Evil(バイオハザード) という特定のゲーム名を冠するエンジン名なのが気になるところです。

  • Unreal Engine を意識しただけの、「MT Framework」と同様に多くのゲームで共通するゲームエンジン
  • とりあえず 「Resident Evil 7」とそのスピンアウトタイトル向けに注力させた ”どんなゲームでも作れるエンジンではない” もの
  • 一向に出来上がらない本命の次世代ゲームエンジン (Panta Rhei ではない) のブランチ

のどれなんでしょ?


まぁ 社内専用のエンジンなら、汎用性とを最初から追求する必要はあまりなく、リードタイトルの事情を汲んで、一つのゲームを作った際に出た問題を本流の汎用ゲームエンジンにフィードバックすればいいだけなので、
どれでもカプコンにとってもユーザーにとっても問題ないでしょう。
個人的にはカジュアルなタイトルと、A~AAA タイトルとでは求められるゲームエンジン像は大きく異なると思っていますので、そこらへんを試行錯誤しながら製品を作って万能なゲームエンジンに仕上げていく方が、
堅実で良い選択だと思います。

僕がわかる範囲の RE エンジン

特定のゲームの体験版を遊んだだけでは、エンジンの特徴なんてわからないです。それを踏まえて…

  • PBR(物理ベースレンダリング)を採用している
  • フォトグラメトリ的な手法でフォトリアルなアセットを作ることが可能になっている
    • ”的な” というのは、取り込んだ 3D モデルをベースにして加工をしているような気がしたからです。
  • ストリートファイター4 でお馴染みの 格子状のマスクを使った半透明みたいなやつ を利用しているっぽい
  • Havok 採用
    • MT Framework では自社製の物理シムを採用していたので、恐らく簡単な剛体物理は Havok を使用していないと予想。
      • 実際、缶の挙動などは今までのカプコンゲーと似ている。
    • 地形を考慮した AI の移動法則を司る 「Havok AI」 や人間やクリーチャー、死体同士の衝突処理などを Havok で処理していると予想。

くらいしか判りませんね。フォトグラメトリ is Justice↓

上記以外には ”常識的に考えて シェーダーをデザイナー側である程度編集できるんだろう” くらいしか想像もできません。


最近になってようやく Unreal Engine 4 臭を嗅ぎ分けられそうになってきた感がありますが、サンプル数がないとちょっと…


屋内だけなので、地形(テライン)生成機能が HightMap ベースなのか、Voxel ベースなのかもわかりませんし、あからさまな GCC によるカクツキも見られないので、C# 実行環境 が使われているのかもわかりません。
完全内製の C# の VM は、成熟するまでに時間がかかりそうですし、本作では必要なさそうで使っていない気がします。

技術的な視点で見る biohazard 7 の細かい部分

技術的に Good

たぶん意図的だと思うんですが、暗い状態から明るい状態に切り替わったときに行われる露出補正を凄く早く終わらせています。
一般的なゲームでは ”眩しすぎてぼやけた状態” を挟むのですが、嘘くさいほどまぶしいゲームが多いので好感が持てます。

凄く暗い↑の画面から、外光が差し込む↓の画面にスッと遷移します。
 


このような流行から一般常識になりつつあるカメラエミュレーションを敢えて無視する選択ができるのはすごいですね。
なんでも物理ベースに走りがちなのですが、それが最適解か考えることはすごく重要かつ、なかなか出来ないことです。素晴らしい。

技術的に Bad

クモの巣がよくありません↓


おそらく ものすごく細い線をただしく描画仕様とした結果、前述の半透明処理が効いてしまって、「何か良く判らないもの」 になってしまったのだと思われます。
クモの巣に見えないんすよ。だって肉眼でも実写映像でも白いもの。


クモの巣をリアルに再現する専用シェーダーでも書くか、サイコブレイクみたいな古典的な表現にした方が ”それらしい” ですよ。(以下、サイコブレイク)


現状だと、解像度が HTC VIVE や Oculus Rift と比べて十分ではない PSVR との相性も気になります。

技術力関係なく Bad

  • 電子レンジの中の腐った鴉、冷蔵庫の腐った食材など、フォトグラメトリ的な手法が使えないアセットの出来が相対的に悪く見える。
    • クリーチャーをフォトリアルなシーンに馴染ませるのってすごく難しいと思うんですけど、G のリアルさと対比しやすいところに配置されているからなぁ…
    • ”気持ち悪い赤ちゃん人形” は 「実際に作ってから取り込めばいいのに」 と思いました。
  • 真っ暗なシーンで明かりがないと何も描画できないのは判るんですが、 ”LED ライトみたいなスポットライトを用意して解決” は杜撰。
    • 過去作以上にホラーであるのだから、光源のない状況は多いので、”薄ぼんやり見える” 表現にはリソースを割くべきだと思います。

プレイヤーは LED ライトを持っていないのですよ↓

ゲームとしての biohazard 7

なぜ FPS にしたのか?

僕はこの点にものすごく否定的です。
主観視点のホラーゲームって物凄くたくさんあるので、良し悪しはさておき biohazard ブランドの個性であった第三者視点を捨てて
ほかのホラーゲームと比較されやすくする意味が分かりません。 主観じゃないから出来る表現って多いと思うんですけどねぇ


これには PSVR 対応が関係しているはずですが…

  • VR HMD 対応をするために主観視点を採用した
  • より魅力のあるゲームにするために主観視点にした結果、VR HMD 対応もできた

のどちらかなのか気になりますね。


前世代に、”DirectX10 対応” とか ”PC-XBOX360 間のクロスプラットホーム通信” などプラットホームベンダーの事情に流されがちだったカプコンさんなので、前者の可能性を消せない…


ホラーの方向性が変わった

最近は ”クリーチャーぶっ殺し + 謎解きゲー” だったので、”サバイバルホラー” に原点回帰しようとする流れは評価できるのですが、最終的なユーザー体験が 「海外のホラーゲームと似通ったもの」 なんですよね。
こればっかりはどうにも擁護できません。 なぜ こうなった?


多分開発者サイドでも本作の方向性に否定的な人も多いんじゃないかな? 「Layers of Fear」が 1000円(セール時)で買える状況で発売日に定価で買うか? と言われて悩まず Yes と答えられる開発者は半分以下じゃないでしょうかね?


世に出なかった ”プロトタイプ版バイオ4” も含めて、「恐怖に立ち向かえる人が、恐怖に立ち向かう」というコンセプトは今までブレなかったのに本作が産まれた。
この理由を製作者に聞いてみたいところです。

補足(発売日に関して)

バイオハザード20周年に間に合わなかったんでしょうねぇ…
是が非でも今年に発売するべきだと経営陣が言いそうなのに、翌年に持ち越したのはそれなりの理由があるんでしょう...('・ω・`;)



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