[PR]
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
一言でいうなら毛糸のピクミン。
多分それで大体の人は理解するだろうし、それ以上に的確な表現はないと思います。
おそらく、こういうコンセプトでデザインされているんだと思います。
ストーリー的にもナラティブデザインx北欧のパペットアニメーションという雰囲気のものになっていますので、チェブラーシカが好きな人にはジャストミートするんじゃないでしょうか?
それをいかにもゲームっぽい映像表現ではなく、フォトリアルで本物の人形アニメを目指している点は尖がっているなぁと思います。当然、GameCube のピクミンも当時そのように思っていました。
後述するように全てがそうではないのですが、基本的にはフォトリアルなグラフィックスで、おそらくフォトグラメトリ的な手法で実際にある風景や建物を忠実に再現しています。
ということで、物理ベースレンダリングでもあると予想します。チルト表現もレンズエミュレーションをしっかり行っているようにも見えます。(細かくわかるほど詳しくありませんが…)
インディーデベロッパーでもここまでフォトリアルなグラフィックスを実現できているんだからフォトグラメトリは偉大だなぁと実感。
こんなにフォトリアル!
パペットアニメーションらしさを追求した結果だと推測しますが、このシーンの前景に生えている多肉植物(?)みたいに、ところどころにデフォルメされたアセットを見かけます。
また、リンゴも (米国などで売っているものと比較して) 実際よりもやや小さく、ちょっとプラスチックっぽい質感になっています。
これにより、全てがフォトリアルだと得られない、よりパペットアニメーションらしさが演出されています。
「ただリアルを追求すればよい」でもなく、「映像による差別化を強く意識する」でもない、コンテンツのコンセプトに最適な映像は何かを真摯に考える姿勢と技術力が生み出した
絶妙で魅力ある箱庭感、流石です。
主人公は自身の毛糸を消費しながら先へ進んでいくのですが、この毛糸が本物っぽく見えないと頑張って作り出した魅力ある映像が台無しです。
そういう理由なのか、UNRAVEL の毛糸は質感もリアル (これはそんなに難しくないはず) ですが、挙動がリアルになるように工夫されています。
紐に関する話題は数年前の SIGGRAPH で話題になっていたように記憶していますが、リアルタイムに行うのは非常に難しいしこんがらがる表現は僕にはよくわからない複雑な問題が沢山あるみたいです。
UNRAVAL がそんな難しい処理をしているのか知りませんが、「たるんだ感じ」、「ピンと張った感じ」、「投げ縄が落下していく感じ」などがすごく自然に感じられます。
内部的には、
僕が細かいところまで注目してみるとアラも見えますが、パッと見はすごく毛糸っぽい挙動に仕上がっていると思います。ただし濡れない
手抜き=悪 だと考えている人はこんなサイトを見ていないと思いますが、念のため言っておきますと、
カメラを自由に動かせるということは、どこから見ても破たんせず、どこから見ても美しい映像にしないといけない
という大変な手間が発生します。
それは開発者の負担を増やすことになり、開発費が高騰することになり、開発期間が延びることになり、だれも得をしません。
ですから、ゲームスタジオにとってとても深刻な問題ですので、予算の範囲で魅力的なものを作るために、ゲームシステムに適切な制限を設けて
その中でベストを尽くすのが美徳とされているのです。
その一環として、このゲームはカメラがごく一部のムービーを除いて平行移動しかしないようになっているようです。
3Dグラフィックスを採用していると、どうしてもでも微妙に角度が変わったりするゲームを作りたくなってしまうものですが、それを一切せず、拡大縮小だけに留めています。
この自制心がどの程度の効果を産み出したかは判断できませんが、結果延々と延期することなく製品を発売でき、カメラの自由度が低いことがゲームの魅力を減らしているわけではないので
とても良い判断だといえるでしょう。
ゲーム開始直後は、ユーザーに操作に慣れてもらうようにチュートリアルを用意するのがゲーム業界の一般常識となっています。
が、これがうざいゲームが非常に多い。日本のゲームだと、
訓練所みたいな場所に連れていかれて、上官の指示にひたすら従う
みたいなチュートリアルが多くて、そういうゲームをプレイすると反吐が出ます。
でもチュートリアルなしで、説明書もなく、難しい操作を要求されるのも腹立たしいことこの上ありません。
UNRAVAL ではチュートリアルステージをそもそも用意していませんが、かと言って操作が分からないことがないように、最初のステージでは 必要に応じて空中に説明文を出す ということをしています。
そのため、最初のステージはいろいろな操作方法を覚えてもらうようなレベルデザインになっていますが、「綺麗な映像だなぁ」とか「動きがかわいいなぁ」などに心を惹かれてしまう序盤なので、レベルデザインがどうのこうのという点は多分考える人居ないんじゃないでしょうか?
紹介ムービーでは物理物理言っていますが、ユーザーが不快に感じそうな場面(例えば このシーンでバケツ2個を一気に押したい場合)でも物理エンジンによる計算は行っていません。
あくまで物理計算による挙動がユーザーがパズルを解く際に一役買っているというようなスタンスなのです。
物理エンジンの一般的な使い方は、「よりリアルにする」だったり「ものを壊す面白さを追加する」だったりするのですが、こういう形でゲームシステムの根幹に組み込んでいる例はあまり知らないです。
とりあえず BOX2D という風潮が 2D のインディーズゲームに多く見られますが、見習ってほしいですね。
WiiU の ”毛糸のヨッシー” は、ヨッシーアイランドの正当な続編ではありますが、映像以外に毛糸であることの必要性はあまり感じられませんでした。
ちょっとだけしか遊んでいないので実際にはそんなことはないのかもしれませんが、少なくとも僕はそういう印象を持っています。
そういうゲームはそれ以外にも多数ある…というかほとんどそんなもんです。それがそれである意味を見いだせるというのは哲学的ですごく難しいですから。
しかしながら、UNRAVAL はいくつものギミックでそれを実現させています。
列挙しますと
各アクションは海原川背などで前例があるので新しいわけじゃないのですが、これらによってプレイヤーが毛糸人形である意義が生まれ、ゲームを遊ぶと毛糸人形に魅力を感じるという
好印象のスパイラルを作れています。
正直、物理演算の効果は大人向けだと思いますので、(小さな)子供が一人で遊ぶのに向いているかというと No じゃないでしょうか?
これ、小学生女子の大多数は解けないと思うんです。
でも、子供がプレイしているのを後ろで親が見ていれば解決するだろうし、紐を使って開設できるし、慣れれば子供一人でも遊べるでしょう。
親の方も、(特に日本の)母親に嫌われにくい映像だと思いますので、ゲーム=悪 と考えない人であれば「べ、別に私がゲームを遊びたいわけじゃないんだからねっ! 子供のあいてしているだけなんだからっ‼」と嵌ってしまうんじゃないでしょうか。